

自己破産とは
任意整理・個人再生では月々の返済できないほどの多額の借金を抱える方が、再び経済的に立ち直るチャンスを与えるために国が作った制度です。「財産を手放して0から再出発したい」「失業やリストラ、病気やケガで収入がなくなり返済できない」と、いった場合も自己破産で解決を目指します。
自己破産を裁判所に申し立て、破産手続きが開始されます。裁判所から免責を決定してもらい、免責が確定すると支払義務が免除されます。申立てから免責確定まではケースにより多少違いがありますが、おおよそ半年程度の期間です。

また、東京地方裁判所では弁護士が代理人となって申立てる自己破産に関しては即日面接を採用しており、これを利用した自己破産申立(同時廃止事件)の期間は約4ヶ月程度で免責確定に至ることができます。
自己破産は清算手続きです。任意整理や個人再生とは違い、自己破産では原則として99万円以上の現金、時価20万円以上の財産は配当に充てます(=破産財団に組み入れます)。しかし、自己破産の場合でも残高20万円以下の預貯金、99万円未満の現金(裁判所の審査有)、処分見込額20万円以下の自動車や生活に必要な基本的なものは手元に残すことができます。
任意整理、個人再生での解決を選択できない方は自己破産の検討が必要かもしれません。 借金が高額だ、返済不能だからと言って新たな借金をしたり、消えてしまいたいと夜逃げをしても借金の解決にはなりません。自己破産すれば解決するのであれば自己破産して人生の再スタートをすることをおすすめします。
同時廃止手続と少額管財手続
- 同時廃止手続
同時廃止手続とは、時価20万円以上の財産がない場合で、かつ免責についても問題がない場合に、破産手続開始決定と同時に破産手続きを終了する簡略な手続きです。
- 少額管財手続(東京地方裁判所の場合)
少額管財手続とは、裁判所から代理人弁護士とは別の弁護士を破産管財人として選任され、財産や免責不許可事由の有無などを調査する手続きです。
管財人手続となる場合は主に次のような場合です。
- 会社を経営している場合や個人で事業をしている場合
- 20万円以上の財産がある場合
- 借り入れの理由に免責不許可事由がある場合
- 借り入れ金額が多額の場合
- 貸しているお金がある場合
自己破産するとどうなるか
自己破産と聴いてよく誤解されるのが、「選挙権がなくなる」「戸籍謄本に破産者の印がつく」「会社を辞めなければいけない」など、自分や周りに悪影響があるのではないかということです。自己破産とは、法律で認められた 国の制度です。
不必要な罰則や制限はありません。 自己破産した場合、 官報の破産者情報と戸籍のある市町村の破産者名簿に氏名や住所が登録されます。免責確定までの間に資格制限があり、弁護士・税理士といった士業、警備員、生命保険の外交員、宅地建物取扱主任者として働けません。
そして自己破産後しばらくの間は借入れやクレジットカードの新規申込ができなくなるでしょう。 しかし、破産者名簿は一般の人の目に触れるものではありませんし、破産したことを理由に解雇するなどは違法です。日常生活を送る上で自己破産したことで何か肩身の狭い思いをする事はありません。 心配なことがありましたら、専門家にご相談ください。債務整理の相談は無料でお受けしている事務所が多いです。

自己破産のメリットとデメリット
自己破産の主なメリットとデメリットは次のようなことです。
メリット
- 債務(借金)の支払義務が免除される
- 依頼後は取り立ても支払いも止まる
- 自己破産後の収入は自由にしてよい
- 自己破産は主婦やアルバイトなど収入のない人、収入の少ない人でも利用できる
1番のメリットは、免責確定がなされれば借金を実質的に帳消しにてもらえることでしょう。 また、自己破産は負債した金額でできるかできないかが決まるわけではありませんし、財産がすべてなくなってしまうこともありません。
生活に必要な最低限の財産(裁判所が判断した99万円までの現金や家財道具)は自由財産と呼ばれており、処分されることなく自分の手元に残せる事になっています。
そのため、家の処分などを伴わない場合、現実的には自己破産をしたことを他人に公表しなければ、公になることはまずないでしょう。 自己破産は、「借金で破綻した人生をやり直すための制度」です。

デメリット
- 一定の財産を失う
- (連帯)保証人に迷惑がかかる
- 官報に記載される
- 手続き中の住所の移転と旅行の制限
- 破産者名簿への記載
- 免責後7年間は再び自己破産することはできません
- 職業や資格の制限を受ける
- 信用情報機関へ「自己破産した」という情報が5年を超えない機関記載されるので、新たな借り入れはしにくくなります。
官報や破産者名簿への記載については、一般的に目に触れるものではありませんのでさほどデメリットにはなりません。しかし、(連帯)保証人がいる場合はあなたの免責確定が保証人に及ぶことはありませんので、債権者は当然保証人に取り立てを行います。そのため、保証人のついている債権の場合はその保証人の方も併せて相談をされる事も少なくありません。
また、破産手続開始から免責が確定されるまでの間にいくつかの資格と以下の職業の制限が伴います。
- 商工会議所会員
- 株式会社の取締役及び監査役(新会社法により、破産者が新たに就任することは可能になりました)
- 証券会社の外務員
- 旅行業者
- 宅地建物取引業者
- 生命保険の募集人
- 警備員などの職業
免責不許可事由とは
自己破産をしたいと思っても、以下のような事由を理由に自己破産が認められない場合があります。
- 借金の原因のほとんどがギャンブルである場合
- 株や先物投資のためにした借金
- 返済不能であることが明らかな事を隠してした借金
- 借金の額などについて偽証を行った場合
- 免責確定を得てから7年経っていない場合
しかし、事由についてはこれがあったら絶対にだめと言うことではなく、裁判所の裁量によっては免責とする場合もあります。 明らかに責不許可事由に該当すると思われるなら、その場合は任意整理、個人再生など他の債務整理方法を検討することもあります。